誠実に頑張る人ほど、限界をひとりで抱え込みやすいという現実

2025年12月1日 2025年11月30日速水恭子

速水恭子

企業の中には、
「普段と変わらないように見える人ほど、実は一番ギリギリ」
という静かな事実があります。

突出した能力かどうかではなく、
“誠実に責任を果たそうとするすべての人” が、
自分の感情よりも役割を優先し、
困難をぎゅっと胸の内にしまい込みます。

だからこそ、限界のサインは
大きな変化ではなく、
とても小さな揺らぎとして現れます。

・言葉数が少し減る
・休憩からの戻りが数分遅くなる
・集中力が浅く感じられる
・笑顔や相づちがいつもより硬い
・反応に“ほんの少しの間”ができる

これらは決して “弱さ” の表れではありません。
むしろ、精一杯踏ん張ってきた証です。

しかし、多くの組織では見逃されがちです。
その理由は明確です。
真摯に向き合う人ほど、最後の最後まで頑張ってしまうから。
そして周囲には「いつも通り」に見えてしまうから。

けれど心が静かに削られていく過程は、
本人にとっても会社にとっても大きな損失です。

声を上げる前に、
“日常のわずかな変化”を
そっと受け取れる組織であること。

必要なのは特別な制度ではなく、
「温かな心と眼差しで人をよく見る」という姿勢だけ。

表情、息づかい、言葉の間。
人は言葉よりも先に、
必ず“何か”を発しています。

大切な仲間を失うとき、
会社は決して「突然辞められた」のではありません。
ただ、本人が最後まで声を上げなかっただけ。

その沈黙に
どれだけ早く気づけるか
そこに組織の未来がかかっています。

ふとした仕草や、声のトーンのわずかな揺らぎ。
それらの小さな揺らぎは、
SOSの手前に必ず現れます。

誰かが沈黙のまま苦しむ前に、
そっと気づける職場であること
それが、人の心と、組織の未来を守る第一歩です。

いつもお目通しいただき、心より感謝申し上げます。

速水恭子くれたけ心理相談室（広島支部）心理カウンセラー

皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております