メンタル不調は、個人だけでなく“組織”の状態を映す

2025年12月2日 2025年12月1日速水恭子

速水恭子

多くの企業で、
メンタル不調は“個人の問題”として扱われがちです。

「もっと強くなってほしい」
「メンタルが弱いのでは？」
そんな言葉が、無意識のうちに投げかけられることもあります。

けれど本当は、
メンタル不調はその人の“性格”の問題ではありません。

むしろ、
組織の構造に生じた小さなゆがみが、
もっとも誠実な社員の心に、静かな負荷となって現れているだけ。

これは人事にとって、
決して見逃してはならない大切なサインです。

たとえば……

・業務量と責任が常に偏っている
・上司の指示が曖昧で判断が難しい
・相談しにくい雰囲気がある
・ミスに対する咎めが強く、挑戦が委縮する
・評価基準が不透明
・人が辞めても補充されず、残った人に負荷が集中

これらには
“構造のゆがみ” が生む不調を含んでいます。

そして、
もっとも誠実で責任感が強い人ほど、
そのゆがみを黙って引き受けてしまう。

だからこそ、
メンタル不調が表面化したとき、
企業が問われるのは
「その人の強さ」ではなく、
「組織としてどれだけ健全だったか」という視点。

メンタル不調は、
会社が“気づくべき合図”でもあります。

必要なのは、
社員を強くすることではありません。

社員が無理をしなくて済む “構造の見直し” をすること。

どんなに誠実な人でも、
構造がその人を追い込めば、
心は静かに擦り減っていきます。

逆に言えば、
構造が整えば、
人は本来の力を自然と発揮できます。

メンタル不調は、
誰かの弱さを責めるためのものではなく、
組織を健全化させるための大切なサイン。

そのサインを
そっと、すぐに、拾い上げられる組織であるかどうか。

そこに、
会社の未来と社員の人生の両方がかかっています。

いつもお目通しいただき、心より感謝申し上げます。

速水恭子くれたけ心理相談室（広島支部）心理カウンセラー

皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております