順贈り
当時勤務していた会社の敷地内で
朝 後ろから近づいてきて
元気か
と声をかけてくださった方がいらっしゃいました
元気じゃありません(人生の岐路に直面していた頃で)
と返答している時には
既に足早に隣の建物の入り口付近に進んでおられます
退勤時にいつもと違うバス停にいると
帰る方向が違うじゃないか(街中の書店に行くのですと返答する暇もない)
と声を掛けてくださるのですが
既に通り過ぎておられるのでどなたかしらと後姿を見送るばかりです
仕事していると通路を通り過ぎる際に立ち寄って
読んだからあげる
とデスクのカウンターの上に小説を置いて行ってくださいました
驚いて振り返ると既にフロアのドアを開けて出られるところで
お礼を言う暇もありません
社外イベントに参加することになり休憩時間に
その制作物に色を付けておられた方のそばを通りがかり
きれいなグラデーションですね
とお声を掛けたら
持っていた絵筆を渡してくださいました
休憩終了時刻も迫っていて突然のことでどう色付けしていいやら
少し戸惑いました
実は同一人物でいらっしゃったことに
私は後に気付くのです
既に勤務されている社員の方々は
後から入社する我々を認識できますが
我々からすると別の建物や別の部署の方だと
なおさら判らなかったのです
JAZZ、小説、絵に親しみ
思いやりや気遣いといった配慮をお持ちの方でした
何かをご相談するとか
アドバイスを頂くという距離にもなく
そういったものと全く無関係のところで
さりげない声掛けに私は温かさを受け取りました
素敵なものを内在させておられる
心に残る方です
既に退任されその後どちらでどうお過ごしなのか
解りかねるのでお礼の気持ちをお伝えできないのですが
いつもお気に掛けて頂いていたこと心より感謝しております
ありがとうございました
思いやりや配慮のような温かなお返しを
その方に直接贈ることが難しいことはよくあるのではないかと思います
「次へ次へと順送り」
私が気に掛けて頂いたご恩をまた別の方たちへ
気遣いや思いやり、配慮という
それとは気付かないうちに
心が温まるような声掛けを
さりげなく順贈りしていきたいと思います
小説は大聖堂建築を夢見る大工が主人公のお話でした
その後数年経て偶然美術館に「大聖堂展」が巡ってきました
これも出会いだと思いました
昨年末 高校バスケのウィンターカップを観に行った際に
jazz喫茶に行ってみました
先にいらした二名のお客様が帰られ
店主が椅子に座ってゆっくりしながら
店内に流す曲のCDを交換しているタイミングで
お薦めのアーティストあるいはお好きな曲は何か
教えていただけませんか?
とお伺いすると
3つ挙げてくださったうちの一つが
前述の方のお薦めと同じソニーロリンズでした
縁のあるものは私がそうと気づくまで私の前に
何回かその姿を表すのでしょうか
目には見えない繋がりやご縁って未知数で楽しみです
いつもお目通し頂きありがとうございます
皆様のお幸せを心より願っています
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