繋いだ手と手

連休前後の日程を充てて父と一緒に暮らしました。

一人では夜間の生活時間帯に支障が見られた時期から

一緒に暮らすのが一番良いことは解ってはいても

諸事情により叶わず当時のケアマネジャーさんと相談し

安心安全のため老健(介護老人健康保険施設)に

入所させて頂いておりました。

 

もともと足腰の強い方ですが

今では歩調はゆっくりになり

移動にも時間がかかります。

少しでも現状を維持してもらえるように

フィットネスや脳トレが充実している老健を選びました。

老健は自宅に戻り生活するためのリハビリ施設であることから

滞在期日があり一旦退所して自宅に戻り生活をしなければなりません。

 

家に帰りたがっていた父の願いも叶えたいと思い

この機に実家で数日間過ごすことに決めました。

夜間数回は起きると伺っていたので眠れないことは

覚悟しておりました。

お風呂が大好きな父で、施設では週二回なのですが

家では通常通り毎日入ってもらいましたので

お風呂から上がってからはよく眠っている様子でした。

日中連れて出掛けたので早朝までは眠ってくれるのではないか

と期待しましたが外れました。(笑)

3時間おきくらいに布団を触る音がして

こちらも察しが付いてきますので(笑)

身体を起こしている様子を確認し

お手洗い行く? と尋ねると 行くよ と。

これを数回繰り返して早朝まだ暗闇の中

父がお布団を畳み始める音

お父さんまだ暗いから横になっていてね

と眠気と疲労に襲われながら懇願(笑)

ほうか(?広島弁:そうか)でも皆起きて外に出とるよと父

(おっしゃる通りでございます!)

いやいや一人で出ては駄目よ(今は付き添えない完全に私の都合(;^_^A))

と説明する私

そうかと畳んだ布団の上に再び横たわってくれた父を見て

お父さん、お布団そのままでいいよ

(清潔感があり几帳面なのは父の良いところです笑)

風邪引くから身体の上にお布団かけてね

わしゃ(?広島弁:一人称 私 自分のこと)このままでええ(いい)よ

睡魔に襲われつつ再度横たわる父を確認しながら

そのままでもいいように代わりに手元にあったリモコンで

エアコンのスイッチを入れて室温を上げる選択をする(笑)

そして眠りに落ちた

 

ふと目が覚めて隣を確認

 

いない

 

(うわっ やられた という感じ(;^_^A))

常に出入りするドアは内側から鍵がかかっており

出た形跡が無い

家中探すがどこかで倒れているわけでもなく

どこにもいない

 

一瞬の間に凄い勢いで思考が巡る(よくある体験笑)

あらゆる可能性が頭の中でチェックリストを形成している

 

いつもは使わない出入り口に

常時置いてある二足のサンダル

一足しか無い

 

歩くスピードと履物を考慮するとそう遠くには行っていないはず

歩いて探しに行くか

車が良いか

警察に捜索を協力するか

小一時間しかたっていない

とにかく思い当たるところ探して回ろうと庭に出た

 

裏庭のベンチに座っている父の姿を発見

思わず

日向ぼっこ??と平常心で話しかけながら深く安堵(良かったぁ)

 

お腹空いたでしょう 朝ごはんにしよう

落ち着いてから

お父さん、心配したよぉ

パジャマとサンダルで町の中歩いているんじゃないか

何処かで転倒していないかと心配したよ

すると父は

そういうこともあるよねぇ と。

え?それ貴方が言う??

間をおいて

思わず爆笑する私につられて父も笑う

お笑い好きな父とはいつもドリフのような会話になる

 

実家で過ごしつつ早朝に往来し自宅のこともして過ごしていたので

休日で車が混むこともなく助かりました。

連休明けは朝から交通量も多いことが予想されるので

新たに入所する日の前夜は私の自宅に来てもらうことに致しました。

父の好きな歌や笑点を見て聞いて笑って過ごしている様子を眺めながら

有り難さを感じました。

 

ここ数年、老親の様子を見ながら介護に関する情報をひたすら勉強し

理解を深めつつ、ケアマネージャーさん、相談員さん、介護スタッフさん、

地域連携で見守るSOSネットもあることから警察の方など

様々な方々との出会い、会話する経験を重ねて参りました。

介護職とカウンセラー職は共通の資質や学びの重なるところも

多くあるためか一人の人間同士としてお話しするうちには

お互いに通じるものがあったり癒されたりすることもあります。

すべてが尊い学びに繋がる体験であり

それらの巡り合わせに感謝の気持ちが溢れてきます。

 

次を探さなければならずそれに付随する気持ちの整理と様々な葛藤と闘っている時も

そのことをいつも念頭に置いてくださって空きが出たらすぐさま対応してくださった

相談員さん、乗り切ってきた経緯を解っているからこそかけてくださることができる

労いの言葉に癒され救われました。

 

温かく迎えてくださったケアマネージャーさん、介護スタッフさんとも

何気ない会話で盛り上がり、抱えていることが少しずつ少しずつ解決していくような

変化を体感することができたひとときでした。

環境の変化により混乱は予想されますが少しずつ父が慣れていってくれることを願っています。

 

夕方になると安堵と共に睡眠をとれていなかったことによる頭痛も感じ

部活で子どもが帰宅するまでにはまだ時間に余裕がありそうでしたので

本気で(笑)眠ることに致しました。

ふと目覚めると窓の外は暗くなっていましたが

時間にして一時間半くらいでした。

無(む)になれた

というのか

空(から)になった

というのか

久方ぶりに安心して眠ることができた時間でした。

 

出逢った皆様に心より感謝申し上げます。

 

親が子の手を取りその成長を導き

成熟した子は歩みのゆっくりになった老親の手を取り支え

共に 出会い 理解し合い 協力し合い 支え合う

ご縁のあった方々とは

心の手と手を繋いでいく

 

素晴らしい世の中でありますよう心より祈っています。

 

いつもお目通しくださいましてありがとうございます。

皆様のお幸せをこれからもずっと願っております。

投稿者プロフィール

速水恭子
速水恭子くれたけ心理相談室(広島支部)心理カウンセラー
皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております

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