構造を教えるという、愛
感情が荒れる環境で育つ子どもに、
何がいちばん必要なのだろうか。
そんなことを、長いあいだ考えてきました。
人間関係の中では、
怒鳴られたり、
気分で態度が変わったり、
理由がわからないまま責められることがあります。
けれど、理科の世界は少し違います。
誰かを責めるのではなく、
「何が起きたのか」を順番に見ていく。
同じことをすれば、同じ結果になりやすい。
違うことをすれば、違う結果になる。
感情ではなく、
条件と結果を結び直す世界です。
だから、次に何が起きそうかを考えることができます。
突然、理由もなく責められる世界ではない。
それを知ることは、
子どもにとって「ここにいて大丈夫」という感覚になります。
世界には、どうしても理解できない出来事もあります。
すべてがわかるわけでもない。
それでも、
すべてが理不尽でできているわけではありません。
考えれば見えてくることも、確かにある。
その余白が、
子どもに「考えていい」という自立と安心を与えます。
構造を教えることは、
子どもに「世界は完全ではないけれど、向き合える」と
手渡すこと。
厳しさも含んだこの世界を生きていくための、
親から子への、
一生ものの深い愛だと思うのです。
いつもお目通しいただき、心より感謝申し上げます。
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