心の上書き

人は心に筆を持っている。
痛みを「消す」ことはできなくても、
その上に新しい色を重ねることはできる。

たとえば、朝の光。
冷たい夜を過ごしたあとに差し込む優しい光が、
昨日の出来事を少しだけ遠くへ運んでくれる。

たとえば、音楽。
不快な声の残響も、
美しい旋律が静かに塗り替えてくれる。

大好きな音楽を聴きながら思う。
過去の言葉や態度をなかったことにしなくていい。
ただ、心の中に新しい音を流せばいい。
それだけで、もう違う景色になる。

心の上書きとは、
他人を変えることではなく、
自分の感受の地図を描き直すこと。

静かに、心に優しい色を重ねよう。
それが、未来のあなたをやわらかく包む光になる。

 

人は過去の出来事を“感情の体験”として心に保存しています。
だからこそ、過去を思い出すたびに、
当時の痛みがよみがえることがあるのです。

しかし
そこに新しい意味づけ、新しい感情、新しい体験を重ねることで、
古い記憶はそのままに、
「苦しみの物語」から「成長の物語」へと書き換えられていきます。

この“上書き”の力こそが、
人間の自己回復力(self-healing)であり、
過去を塗り替えるのではなく、
自分の感じ方を育て直す力なのです。

 

いつもお目通しいただきありがとうございます。

投稿者プロフィール

速水恭子
速水恭子くれたけ心理相談室(広島支部)心理カウンセラー
皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております
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