小さな違和感を拾える組織が強い

多くの離職は、突然起こるものではない。
その始まりは、日々の小さな“違和感”の積み重ねだ。

会議でふと感じる言いづらさ。
上司の表情のわずかな変化。
褒められない日々の中で薄くなる自己効力感。
朝の支度が、少しだけ重くなるあの感覚。

どれも“大ごと”ではない。
けれど、1mmの違和感が積もり重なると、
やがて心の距離は10mにもなる。

● 離職は「制度」ではなく“感覚の扱い方”で決まる

企業は離職防止のために、
研修・福利厚生・評価制度を整えようとする。

もちろんそれらも大切だけれど、
実際に人をつなぎ止めるのは、
日々の些細な場面に“心の逃げ場”があるかどうか。

・否定されなかった
・一言だけでも認められた
・話を遮られなかった
・忙しそうでも、目だけは合わせてくれた

そんな“1分の行動”の方が、制度よりも強い影響を持つ。

● リーダーが見るべき速度の変化

離職リスクは、成果の大小より
行動の速度変化に表れやすい。

発言量が急に減る。
返信のテンポが落ちる。
笑顔の立ち上がりが遅くなる。
雑談が前より短くなる。

これらは“問題”ではなく、
心が離れ始めた初期サインだ。

微細な変化に気づけること。
その1つが、離職防止の最大の鍵となる。

● 結論:離職を防ぐのは“見守る感性を持つ組織”

大規模な制度改革でも、立派な研修でもない。

離職を防ぐのは、
毎日の1分の気づき。
そして、人の微細な変化を見る力。

“違和感に耳を澄ませる組織”は、
自然と信頼が育ち、
心理的安全性の高い組織になっていく。

人は守られた場所でこそ、静かに力を発揮する。
それが、離職防止の本質だ。

いつもお目通しいただき、心より感謝申し上げます。

投稿者プロフィール

速水恭子
速水恭子くれたけ心理相談室(広島支部)心理カウンセラー
皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております

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