立ち止まることから、整っていく

考えが行き詰まったとき、
感情が追いつかなくなったとき、
人はつい「答え」や「成長」を探そうとします。

けれど、カウンセリングの現場で見えてくるのは、
回復や変化は、急いだときには起きないということです。

思考のプロセスと、心が整っていくプロセス
人が考えるときの流れと、
心が整っていく流れは、よく似ています。

思考のプロセス
・問いを立てる
・違和感を言葉にする
・確認したいところで立ち止まる
・(思想として受け取る準備)

カウンセリングのプロセス
・心の整理が始まる
・気づきが生まれる
・現実を受け止める余白が生まれる
・自己発見・自己成長

成長や変化は、
目標として追いかけるものではなく、
心が安全に整ったあと、自然に立ち上がってくるものだからです。

私のカウンセリング観
私の支援は、
(無理に)
・気づかせない
・結論に連れていかない
・成長を急がせない
という立場にあります。
問いが生まれ、
違和感が言葉になり、
立ち止まる余白が守られると、
人は自分で次の一歩を見つけていきます。

「整うと、自然に次が見えてくる」
それを信じて、待つ支援です。

「人を強くしない」「最適化しない」という意味
ここで言う
「人を強くしない」「最適化しない」とは、
人を弱いままにすることでも、
成長を否定することでもありません。

多くの人が「強くなりたい」と願うとき、
本当に求めているのは、
傷つかないことではなく、
傷ついた自分を立て直せる安心なのだと思います。

また、心を「最適化」しようとすると、
今の状態が「修正すべき問題」として扱われてしまうことがあります。
けれど、立ち止まっていることにも、
迷っていることにも、必ず理由があります。

早く変えることよりも、
安全にいられる時間を大切にしたい。
安全が整ったとき、
人は教えられなくても、急かされなくても、
自然に自分の力を取り戻していきます。

気づきや成長は、
目指したときに起きるものではなく、
心が安心の中で整ったとき、
静かに立ち上がってくるものだと思っています。

立ち止まることは、後退ではありません。
それは、回復が始まっているサインなのかもしれません。

いつもお目通しいただき、心より感謝申し上げます。

投稿者プロフィール

速水恭子
速水恭子くれたけ心理相談室(広島支部)心理カウンセラー
皆様がお健やかで穏やかに日々お過ごしになれますよう願っております

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